ロシアの国家ぐるみによるドーピング問題で、同国のコロプコフ・スポーツ相は7日、世界反ドーピング機関(WADA)の代表団がモスクワの検査所に保管された検体データを受け取るため、9日から再び訪ロすることを明らかにした。昨年末の期限が過ぎてもデータが提供されず、ロシアに対する再処分の可能性が高まり、土壇場で対応を改めたとみられる。
インタファクス通信などに語った。WADAも9日からの訪ロ予定を認めた。
データの提供は、昨年9月にWADAが約3年ぶりにロシア反ドーピング機関(RUSADA)の資格停止を解除した際の条件の一つ。期限は昨年末とされていたが、12月にWADA代表団が訪ロした際、代表団の機器にロシアの法的認証がないことなどを理由にロシア側が提供を拒否した。
これを受けて今月2日、日本や米国、ドイツなど16カ国の反ドーピング機関がWADAに早急な対応を求める共同声明を出し、「断固とした対応をとるときが来た」と主張。WADAの代表団は14、15日に予定されるコンプライアンス審査委員会に報告書を出すことになっており、常任理事会を経て再度の資格停止などRUSADAに対し厳しい処分が出される可能性が強まっていた。
昨年の平昌冬季五輪でロシアはロシア選手団としての参加が認められず、「潔白」と認められた選手だけが「ロシアからの五輪選手」(OAR)との呼称で参加した。(モスクワ=喜田尚)