タイの首都バンコク近郊にあるスワンナプーム空港で5日、18歳のサウジアラビア人女性が入国を拒否され、身柄を拘束された。女性は家族に虐待されていると訴え、逃れるためにオーストラリアに向かう途中だった。国際人権団体が、帰国させられれば身に危険が及ぶとして送還しないよう求める声明を出し、女性は7日夜、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の保護下に入った。
AFP通信などによると、ラハフ・ムハンマド・クヌンさんは家族から身体的にも精神的にも虐待を受けており、家族旅行でクウェートを訪問中に逃げたと説明。「髪を切っただけで6カ月も部屋に閉じ込められた」と話し、「もし送還されれば投獄され、刑務所から出たとたんに殺される」と訴えたという。
クヌンさんはバンコク経由でオーストラリアに向かう予定だったが、タイ当局は必要な書類を持っていなかったため、入国を拒んだと説明。関係機関と対応を協議するとしていたが、地元メディアによると、7日夜にUNHCRの職員が面会し、その保護下でタイに入国したという。
クヌンさんは拘束後、自らツイッターで送還の恐怖を訴え、これを受けて国際人権団体ヒューマンライツ・ウォッチやアムネスティ・インターナショナルが送還しないよう求める声明を発表。UNHCRとの接触を認めるべきだなどと訴えていた。(バンコク=貝瀬秋彦)