医師の働き方改革を議論する検討会で、厚生労働省は11日、残業時間の罰則つき上限を、一部の勤務医で年1900~2千時間の水準にする案を示した。2035年度末までの特例とし、対象の医療機関を重点的に支援して労働時間の短縮をはかる。企業に適用される上限の約2倍を認める案に、「長すぎる」との批判も出た。
勤務医には24年4月から上限が適用され、厚労省案では一般勤務医は休日労働を含めて年960時間とした。ただ、地域医療の確保のためにやむを得ずこの上限を超える医師が想定されるとして、1900~2千時間の特例を認める。対象は救急や在宅医療で緊急性の高い医療に対応する全国の施設などに限り、終業から次の始業まで最低9時間休息させ、連続勤務を28時間までに制限する健康確保措置を義務づける。
特例の導入により、長時間労働を追認することになる。このため適用施設には労働時間を短くする計画の策定を義務づけ、勤務環境の改善とセットにする。国も医師の業務を看護師などに移したり、施設管理者の意識改革を進めたりする支援策を進めていく。
しかし、新年度以降に企業に適用される上限は最大960時間。この日の検討会では、この上限と比べ自治労の森本正宏総合労働局長は「あまりにも長すぎる」と再検討を求めた。「1900~2千時間は一般の労働者の2人分働いている感覚。精神障害の労災認定基準も大きく超え、いつ労働災害が起きてもおかしくない」
医師の委員からは、おおむね賛…