堺市南区で昨年7月、大型バイクに「あおり運転」をした末、車で追突してバイクの男性を死亡させたとして殺人罪に問われた同区の元警備員、中村精寛(あきひろ)被告(40)の裁判員裁判の初公判が15日、大阪地裁堺支部(安永武央裁判長)であった。被告側は殺意を否認し、検察側と真っ向から対立する構図となった。
「車を凶器にした通り魔に殺された」あおり運転の遺族
「あおり運転」で死亡、被告が殺意否認 大阪地裁支部
検察側は被告の車のドライブレコーダーの映像を法廷で再生。堺市南区の大阪府道で昨年7月2日夜、大学4年の高田拓海さん(当時22)=同市西区=運転のバイクが前方に入ってきた後、車を加速させてパッシングをしながら追跡、衝突後に「はい、終わりー」と言う様子が記録されていた。映像を記録したメモリーカードは衝突後にレコーダーから抜かれていたが、逮捕後の所持品検査で被告の着衣のポケットから見つかったとする経緯も書面で明らかにした。
検察側はこの映像を立証の柱として、被告が故意に時速約96~97キロで車をバイクに追突・転倒させ、高田さんを殺害したと主張。一方、被告は罪状認否で「腹を立てて追いかけ回したり、追跡したりしたことはありません」と反論。弁護側もブレーキが間に合わずに衝突したとして殺意を否定し、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)罪にとどまると訴えた。(坂東慎一郎、畑宗太郎)
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