堺市南区で昨年7月、大型バイクに「あおり運転」を続けた末、車で追突してバイクの男性を死亡させたとして殺人罪に問われた同区の警備員、中村精寛(あきひろ)被告(40)の裁判員裁判の初公判が15日、大阪地裁堺支部(安永武央裁判長)で始まった。中村被告は「故意に被害者の方のバイクに衝突させたことはございません」と殺意を否認した。判決は25日の予定。
夕食作り待つ母へ届いた悲報 「あおり運転」殺人事件
起訴内容は昨年7月2日午後7時35分ごろ、堺市南区の大阪府道で乗用車を運転中、大学4年の高田拓海さん(当時22)=同市西区=運転の大型バイクに追い抜かれたことに立腹し、追跡。約1分後、車を時速96~97キロで故意にバイクに追突・転倒させ、高田さんを殺害したというもの。
争点は、高田さんを死亡させるかもしれないと認識しながら、被告が車を追突させたかという点だ。
検察側は、被告の車に搭載されていたドライブレコーダーに、約1キロもの距離にわたって加速や急接近をしながらバイクを追跡する記録があったことや、衝突時の速度などから被告が殺意があったと主張するとみられる。
一方、被告は捜査段階で「車線変更のために後方に注意を取られて当たった」と説明し、殺意があったことを否定していた。公判でも「あえて追突したわけではない」などと主張するとみられる。
あおり運転をめぐっては、東名高速で2017年6月、あおり運転で停車させられたワゴン車の夫婦がトラックに追突されて死亡した事故で、横浜地裁が昨年12月に危険運転致死傷罪の成立を認め、被告に懲役18年の判決を言い渡した。警察庁は昨年1月、悪質ドライバーを積極的に摘発するよう全国の警察に通達していた。(坂東慎一郎)