第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕=日本高校野球連盟、毎日新聞社主催、朝日新聞社後援)の出場校を決める選考委員会が25日、毎日新聞大阪本社で始まった。出場校は32校。そのうち3校が、「21世紀枠」で選ばれる。2001年の第73回大会から設けられ、「困難の克服」や「模範的マナー」などを指針にして選ばれてきた。今回、全国9地区から候補にあげられたのは、どんな学校なのか。
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〈北海道 釧路湖陵(こりょう)〉釧路市にある1913年創立の道立進学校。春夏通じて全国の経験はないが、昨秋は9年ぶりに道大会に進出すると、61年ぶりの道4強入り。部員は女子マネジャー2人を含め、24人。多くの投手が野手を兼任しながら、戦ってきた。地元の少年野球団に施設を貸したり、練習の手伝いをしたりして地域にも貢献してきた。
〈東北 宮城・古川〉県北部にある1897年創立の県立進学校。春夏ともに全国大会出場はない。秋季大会はエース右腕の千坂優斗(2年)の力投で県大会で準優勝し、東北大会は秋田1位の秋田修英などを破り、4強。
東日本大震災の被害が大きかった同県塩釜市での復興ボランティアに毎年参加。2015年9月の関東・東北豪雨により、地元の渋井川が決壊した際にも、後片付けのボランティアに率先して加わった。
〈関東 茨城・石岡一〉1910年創立。農学校が母体の県立校。普通科のほか園芸科、造園科があり、地元の農業の担い手が多く輩出する。放課後は農場実習があるなどで部員全員で同時に練習できない環境のなかで、昨秋の県大会では明秀日立や土浦日大などの甲子園経験校を破って4強に入った。最速147キロの岩本大地(2年)は奪三振能力が高い。
〈東海 静岡・清水桜が丘〉サッカーの強豪だった清水商と県立の庵原(いはら)を再編整備して2013年にできた静岡市立の高校。商業科の教諭である曲田雄三監督は、文部科学省が推進する学生の能動的な学びを重視するアクティブラーニングに積極的に取り組み、野球部にも導入。選手たちが方針を決めてきた。昨秋の静岡県大会で準優勝し、東海大会に進んだ。
〈北信越 福井・金津〉県北のあわら市にある1983年創立の県立進学校。地域の雪かきへの参加や地元保育園でのティーボール体験会を実施し、過疎化が進む地元の活性化に取り組む。2年連続で北信越の推薦校となった。
昨秋は投打の要となる石丸結大(2年)の活躍もあり、福井県大会で準優勝し、北信越大会に出場した。初の全国大会出場を目指す。
〈近畿 大阪・八尾〉1915年に創部し、これまでに春6回、夏4回の甲子園出場経験がある。52年夏の第34回全国選手権で準優勝した府立の古豪だ。
グラウンドは他の部活動と共用するため、使用できるのは週3日。さらに、午後7時には完全下校。限られた練習環境のなか、昨秋の府大会で16強に入った。
〈中国 島根・平田〉出雲市にある1916年創立の県立校。野球部内に「普及班」があり、人口減に悩む地元で子どもたちの野球離れを食い止めるため、部員が幼稚園・保育園などに野球体験の機会を提供している。
昨秋の県大会は継投で勝ち上がり、2位で中国大会に進出。初の甲子園出場を狙う。
〈四国 徳島・富岡西〉1896年創立の県立校。他部と共用するグラウンドは内野部分しか使用できないため、守備では基本を磨いてきた。最速142キロの右腕浮橋幸太(2年)が中心。攻撃はノーサインで果敢な姿勢が光る。秋の県大会3位となり、四国大会では4強まで進んだ。
学校のある阿南市には「野球のまち推進課」があり、地元を挙げた強化に取り組む。
〈九州 熊本・熊本西〉熊本市内にある1975年創立の県立校。創部10年目となる85年夏の甲子園に出場。昨秋の県大会では準優勝し、九州大会は1回戦で佐賀1位の佐賀学園を下し、8強入りした。
部の運営は、「天気掌握班」「部室管理班」などといったユニークな班を編成し、役割を分けて進めている。新チームからは「野球普及・地域活性化班」を設け、部員が地元の小学校との交流などの普及活動を企画している。
21世紀枠候補校
北海道 釧路湖陵
東北 古川(宮城)
関東・東京 石岡一(茨城)
東海 清水桜が丘(静岡)
北信越 金津(福井)
近畿 八尾(大阪)
中国 平田(島根)
四国 富岡西(徳島)
九州 熊本西(熊本)