今春の第91回選抜高校野球の出場校が25日に決まる。かつては強豪「四国四商」の一つに数えられた徳島商や、「やまびこ打線」で注目を集めた池田など、一時代を築いた徳島勢は、この4年間選抜出場から遠ざかる。そんな中で、全国ではあまり知られていない公立校が候補校になった。躍進の背景には何があるのだろうか。
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「甲子園行けるかもしれんけん、がんばれよ」。徳島県立富岡西高野球部の坂本賢哉主将(2年)は昨秋、四国大会を終えて地元・阿南市に戻ると、街で見知らぬ人に声をかけられた。学校の電話も鳴った。「四国大会を見て感動した! 応援しとるけんな」。徳島3位で出場した四国大会で、1回戦で高知、準々決勝で帝京五(愛媛)を破り、4強入り。四国の選抜出場枠は2もしくは3校。さらに富岡西は21世紀枠候補にも選ばれた。
学校創立の4年後、1900(明治33)年に創部した野球部の甲子園出場は、春夏通じて一度もない。進学校で、グラウンドは他部と共用。レフト側はサッカー部、センター側はホッケー部、ライト側はソフトボール部が使う。打撃練習は週末の一部と、大会前の早朝しか自由にできないが、近年めきめきと力をつけてきた。
背景には阿南市ぐるみの取り組みがある。2007年に完成した両翼100メートルのアグリあなんスタジアムを活用し、草野球大会や野球チームの合宿の誘致を軸としたまちおこしに成功。10年には市に「野球のまち推進課」を作るほど力を入れる。
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