自動車部品大手の曙(あけぼの)ブレーキ工業は30日、私的整理の一つである「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」の利用を申請したと発表した。取引金融機関に借入金の元本の返済を一時停止してもらうよう求めた。北米事業の不振などで財務が悪化。1千億円超の有利子負債の返済にめどが立たなくなったため、経営再建をめざして私的整理手続きの活用に踏み切る。
曙ブレーキは1929年創業。車のブレーキの摩擦材を中心にブレーキ製品を幅広く手がけ、2018年3月期の売上高は2649億円。信元久隆会長兼社長は、日本自動車部品工業会の会長や、トヨタ自動車の取引先でつくる「協豊会」の会長などを歴任した。
売上高のうち5割弱を北米事業に頼る。11%を出資する筆頭株主のトヨタ自動車のほか、米ゼネラル・モーターズ(GM)、日産自動車、ホンダなど多くの自動車メーカーと取引があるが、最大顧客のGMから次期モデルのSUV(スポーツ用多目的車)などのブレーキ製品の受注を逃したことで米国事業が苦境に陥り、資金繰りが悪化していた。
曙ブレーキは今後、国の認定を…