スポーツ用品大手デサントの大株主である伊藤忠商事が、デサントに対して同意のない株式公開買い付け(TOB)に乗り出す。半世紀にわたって蜜月関係にあった両社が、なぜ「泥仕合」を演じるまでにこじれてしまったのか。
デサント社長、伊藤忠・ワコールとの関係を語る
蜜月に亀裂 デサントに伊藤忠幹部「ほかの手段も…」
「息子をよろしくお願いします」
いまから10年ほど前、伊藤忠の繊維部門トップだった岡藤正広氏は、大阪で会食したデサント最高顧問、石本恵一氏(故人)からこう言われたという。
「息子」とは石本氏の子息で、当時デサント執行役員だった石本雅敏・現社長のこと。石本恵一氏は2011年に東京の伊藤忠本社を訪れ、社長になった岡藤氏にこう伝えた。
「デサント株式の買い増しによる関係強化と、会社をよろしくお願いします」
その翌年に恵一氏は死去。その後、蜜月だった両社の関係は徐々にすれ違っていく。
■「一本足打法」ともささ…