シャープは30日、2019年3月期の売上高が、従来予想より1900億円低い2兆5千億円(前年比3%増)ほどになりそうだと発表した。営業利益予想も50億円減らし、1070億円(同18・7%増)に下方修正した。スマートフォン用の液晶パネルやセンサー類の販売が、予想を下回った。
16年夏に鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)の傘下に入って以降、鴻海の力を借りて、中国を中心に、海外での販売を強化してきた。その分、中国の景気減速や米中貿易摩擦が心配されていた。業績の下方修正は、昨年10月に続き2回目で、減速が鮮明になっている。
同時に発表した18年4~12月期決算は、売上高が前年同期比3・2%減の1兆7715億円、営業利益は3・0%減の682億円、純利益は13・9%増の630億円。
米アップルのiPhone(アイフォーン)の販売不振の影響に加え、中国でのテレビ販売に急ブレーキがかかっている。親会社の鴻海の販売網を活用してテレビの販売台数を伸ばす戦略だったが、結果を急ぎ、価格の急落を招いた。利益を確保するために無理な安売りを抑えると、今度は販売台数が減る悪循環になった。
記者会見した野村勝明副社長は、「米中貿易摩擦で取引先に出た影響が当社に回ってきている。経済の不確実性が増しており、今後の経営計画を見直していく」と話した。20年3月期までの3カ年計画で、最終年度には売上高を3兆2500億円にするとしてきたが、これを下方修正することになりそうだ。
シャープはすでに「量から質への転換を進める」(戴正呉会長兼社長)と明言して、8K液晶テレビなどの高付加価値品を重視した戦略に移している。だが、ここまで再建するまでの安値攻勢で、「安いブランド」のイメージが付いてしまった。さらに中国景気も不安定になっている。アナリストの中には「高級テレビを出しても売れるのか疑問だ」と、先行きを疑問視する見方もある。(神山純一)