車いすに乗った人、お年寄り、乳幼児を連れたお母さん――。アリーナには、観戦するのに助けが必要な人も訪れる。そんな人たちをサポートする知識や行動力を意味する「ユニバーサルマナー」を身につけようと、プロバスケットボールBリーグ1部の滋賀が積極的に取り組んでいる。
2013年に始まったユニバーサルマナー検定は、座学や実技研修、試験を通じて取得できる民間資格で、介護の現場や自治体などで広がる。滋賀はスタッフや一部の選手が受講、受験し、ホームの試合でブースを設けて、困っている人がいないか注意している。
取り組みの背景には、施設の老朽化がある。本拠の「ウカルちゃんアリーナ」(大津市)は、1970年に竣工(しゅんこう)。年季の入った施設には、段差の大きさや通路の幅など、助けが必要な人でなければ気づきにくい不便さがある。Bリーグ全体で見ても、築30年以上の施設をホームアリーナとしているクラブはB1だけで八つあり、東京五輪があった64年前後にできた施設も目立つ。
「ハードの不利はハートでカバーする」。滋賀が掲げるモットーについて、西村大介代表は、そう話す。クラブ全体にも必要とされているマインドだ。(高岡佐也子)