大学卒業後、サンリオに入社。退社して結婚し、3児の母に。順風満帆だった小巻亜矢さん(59)の人生が急転したのは、34歳の時だった。2歳の次男が、事故で亡くなったのだ。そこから、「生きる意味」を自問する日々が続いた。37歳で離婚。小学生と幼児の息子2人と再出発した。
再就職先は訪問販売の化粧品会社。帰宅後も伝票処理に追われ、2~3時間寝ては子どもを送り出す。ノルマが頭から離れず、鎮痛剤をコーヒーで飲み下した。「クリスマスプレゼントはいらない。ママの笑顔がほしい」という長男の言葉が胸に刺さった。
とはいえ、仕事は徐々に面白くなった。好業績で表彰もされたが、多くの女性と出会う中で、肌の悩みは心の悩みだと感じるようになった。
「妻、母、嫁。期待される役割を優先してしまいがちな女性が、自分の心と向き合い、対話する手助けをしたくなったんです。人生は想定外の連続。だからこそ、自分の軸を持つことが必要だなと」
そんな時、古巣のサンリオから化粧品の新事業立ち上げで声がかかり、43歳で社員として復職した。一方、女性のメンタルサポートを手がけたい気持ちも衰えず、心理学やコーチングを独学。そんな生活を5年続けた矢先、自身に乳がんが見つかる。左胸を全摘して復職。49歳の時には社内ベンチャーで、女性支援の会社と若者支援のNPOを設立した。その後、別の病気で子宮も摘出した。
仕事で女性支援に関わるように…