欧州諸国と米国などの軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の加盟29カ国国は6日、旧ユーゴスラビアのマケドニアの加盟を承認する議定書に署名した。マケドニアの加盟を阻んできたメンバー国ギリシャとの国名問題が解決した。今後、加盟国の議会での承認を経て、年内にも30カ国目の加盟が決まる。
「マケドニア」の名称は、古代ギリシャのマケドニア王国に由来する。ギリシャは「マケドニア王国は私たちの歴史の一部」と主張し、1991年のマケドニア独立以来、国名の使用に反対。欧州連合(EU)やNATOへの加盟を阻むなど、対立していた。
しかし、マケドニアは2017年に発足したザエフ政権が対ギリシャの融和路線に転換。昨年6月に国名を「北マケドニア」に変更することでギリシャと合意していた。ギリシャ側が、金融危機時に支援を受けたEUの強い意向をくんだとする見方も出ている。
NATOは冷戦後、東欧諸国を取り込む「東方拡大」戦略を重視。近年は09年にアルバニア、クロアチア、17年にモンテネグロが加盟した。こうした動きに、ロシアのプーチン大統領は「西側の軍事同盟が我々に向かって拡大している」などと強く反発している。(ブリュッセル=津阪直樹)