タイで3月にある総選挙に向け、タクシン元首相派の政党がウボンラット王女を首相候補として届け出た問題で、タイの選挙管理委員会は11日、ウボンラット王女を候補者と認めないと決めた。届け出をめぐっては、ワチラロンコン国王が「非常に不適切」と批判する声明を出していた。
タイの選管は11日、各党の首相候補の名簿を発表したが、その中にウボンラット王女は含まれていなかった。選管は声明で王女の名前を除いたことについて、「王室は政治の外側で中立的であるとされている」「(候補者としての手続きを進めれば)憲法や王室のしきたりに反する」と説明した。
タクシン派のタイ国家維持党は今月8日、国王の姉のウボンラット王女を「知識豊富で社会活動を続けてきた」などとして、選管に首相候補と届け出た。
しかし同日夜、国王が「王室の高位の者が政治の世界に入ることは、いかなる理由や方法であれ、非常に不適切だ」などと批判。タイ国家維持党は事実上の擁立断念を表明していた。
同党に対しては「王室を政治に利用した」といった非難の声も上がり、9日には市民団体が選管に「(王女擁立が)違憲でないか調べるべきだ」との要望を提出。「憲法や法律に違反していた政党は解党の対象となる」などと主張した。(バンコク=染田屋竜太、貝瀬秋彦)