ドイツで開催中のベルリン国際映画祭は11日、メインの長編コンペ部門に参加が決まっていた中国の「ワン・セカンド」(チャン・イーモウ監督)の上映ができなくなったと発表した。映画祭側は公式サイトで「ポストプロダクション(仕上げの編集作業)中におきた技術上の問題」と理由を説明した。国際映画祭のコンペ部門で参加作品が上映中止となるのは珍しく、最高賞の金熊賞はこの作品を除く16本で競うことになった。
同映画祭によると、「ワン・セカンド」は文化大革命時代の中国が舞台で、強制労働を逃れてきた男性と孤児の少女の物語。文革時代に青年期を過ごしたチャン監督は、これまでも文革当時を描いた映画を作っている。
チャン監督は監督デビュー作の「紅いコーリャン」で1988年に金熊賞を受賞。「あの子を探して」、「初恋のきた道」、高倉健を主演に迎えた「単騎、千里を走る。」など数多くの話題作を手がけた中国を代表する監督だ。2008年の北京五輪では開会式と閉会式の演出責任者を務めた。
同映画祭では、開幕前の4日にも、青少年向けの「ジェネレーション14+」部門で、中国と香港が合作の「ベター・デイズ」(デレク・ツァン監督)の出品中止が発表されている。