米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、政府が進める埋め立ての是非を問う沖縄県民投票が14日、告示された。埋め立てについて「賛成」「反対」「どちらでもない」の3択から選ぶ。一部離島を除き24日に投票され、即日開票される。
「民意と言えるか」投票率50%の壁 沖縄県民投票
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
県民投票条例は、3択のうち最も多かったものが、投票資格者総数の4分の1に達すれば、知事は結果を尊重しなければならず、首相と米大統領に結果を通知する、と定めている。結果に法的拘束力はないが、投票率や投票結果に加え、それらを踏まえて、辺野古移設を推し進める安倍政権がどのような対応をとるのかも焦点になる。
玉城(たまき)デニー知事は14日午前、「県民が自身の意思を直接示すことができる大変重要な機会。県民の皆様にはぜひ投票所に足を運び、貴重な一票を投じるようお願いします」と記者団に述べた。
玉城氏や、玉城氏を支える「オール沖縄」勢力は、安倍政権に移設断念を求める上で、反対多数の強い民意を示したい考え。社民党や共産党、労働組合などが、反対への投票を呼びかける。一方、安倍政権を支える自民、公明両党は「自主投票」を決めており、組織的な運動はしない。
県単位の住民投票は、1996年の沖縄県で、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しをテーマに実施されて以来。この時の投票率は59・53%で、賛成が89・09%を占め、当日有権者数の過半数に達した。
県民投票をめぐっては、一時は5市長が不参加を表明し全県での実施が危ぶまれた。1月下旬に、県議会で選択肢を賛否2択から「どちらでもない」を加えた3択にする改正条例が成立し、全41市町村で実施されることになった。
菅義偉官房長官は14日午前の会見で、この日告示された沖縄県民投票について、「地方公共団体が条例に基づいて行うもので政府としてコメントは差し控える」と述べたうえで、「原点は普天間飛行場の危険除去だ」と繰り返して辺野古への移設計画を進める方針に変わりはないとした。
菅氏は「普天間飛行場の危険除去、辺野古移設に関する政府の考え方や、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現する取り組みについて丁寧に説明し、地元のご理解、ご協力を得られるように粘り強く取り組んでいく」と話した。