宝塚歌劇やプロ野球などライブで見られるエンターテインメントが人気だ。それに乗じて、チケットを転売し利益をえようとするケースも後をたたない。手を焼いた運営者の対抗策とは。
2月上旬の土曜日の朝。東京・有楽町の東京宝塚劇場前には約100人の行列ができていた。雪組公演「ファントム」の当日券に並ぶ人たちで、先頭の女性は午前5時ごろから並んだという。60代の女性は午前7時ごろ並んだがキャンセル待ち。「仕事でつらくても、タカラヅカの舞台を見ると忘れちゃう」。「日常を忘れてしまう。一度生で見ればファンになりますよ」と話していた男性(59)もやはりキャンセル待ちだった。
宝塚歌劇を運営する阪急電鉄の広報担当者によると、宝塚歌劇が100周年を迎えた2014年以降、人気が過熱。チケットが先行販売される公式会員組織「宝塚友の会」の会員数も増加傾向にあり、18年には9万5千人に。一方、営利目的でのチケット高額転売も目立ち始めた。最も高い席で1万2千円程度だが「千秋楽のチケットが数十万円で売られていたこともあったようだ」と担当者。
ファンから苦情が相次ぎ、16年に会員規約を改正し転売目的の購入を禁止。それでも止まらず、今年1月、昨年1年間に転売に関わった100人以上の会員の登録を抹消した、と公表し、改めて注意を呼びかけた。以前から転売サイトなどを調べ、強制退会措置などをとってきたが公表は初めて。「抑止効果を狙った」という。
チケットの転売に悩むのは、昨年史上最多の入場者数だったプロ野球も同様だ。パ・リーグ優勝の埼玉西武ライオンズは昨年11月、終盤戦とクライマックスシリーズのチケットの転売などをした80人以上に入場を断るなどし、うち約60人以上のファンクラブ会員を退会処分にしたと発表。優勝争いにも絡み、チケットが入手困難で、定価の5倍だった例もあったという。「昨年は数が異常に多く、注意喚起のためにも公表した」と広報担当者。
背景には、ライブで見るエンタ…