南米大陸最高峰アコンカグア(標高6961メートル)の登頂とスキー滑降をこの1月に目指したプロスキーヤー三浦雄一郎さん(86)はドクターストップにより頂を踏まずに下山となった。中高年世代に多い登山の遭難の防止に向け、三浦さんの行動が伝えるものとは。
【特集】三浦雄一郎さん、南米最高峰に挑戦
アコンカグアと装備の詳細に迫る
「『危険を察知しながら、余裕のあるうちに山を下りなさい』という、安全に山を登り、帰ることの指針になったのかなと思う」
今月6日、東京都内で開かれた遠征の報告会。三浦さんは標高約6千メートルでの撤退に悔しさをにじませながらも、一般の登山者に通じる教訓を語った。
警察庁によると、2017年に国内で起きた山岳遭難の人数は3111人で統計の残る1961年以降で最多を更新した。40歳以上が8割近くを占め、70歳以上だけでも全体の4分の1に及ぶ。遭難時の状況別では、病気と疲労で全体の約13%。体の不調が事故につながっている。
三浦さんの場合、体調面のリスクを指摘したのは、同行したチームドクター大城和恵さん(51)だ。
三浦さんは標高4200メートルのベースキャンプ(BC)で8日間滞在した後、酸素を吸って行動する前提でヘリコプターで5580メートル地点へ。そこから約6千メートルまで歩いたが、強風のため2日間足止めとなった。
狭いテント生活で酸素を吸わない場面が生じ、三浦さんが息苦しそうな様子を大城さんは見た。さらに持病の不整脈など、BCでは出なかった症状も見られ、「心臓に負担がかかる状況。さらに標高を上げれば、心停止の恐れがある」と大城さんは判断。現地時間の20日に下山となった。
次男の豪太さん(49)は、説…