思わぬ形になってしまったけれど、作った陶芸家は愛着を持っている。そんな焼き物を集めた初めての展示会が8~11日、佐賀県武雄市の陽光美術館・日本庭園「慧洲(けいしゅう)園」であった。名付けて「いとをし かたやぶれもん」。めったに見ることができないとあって、県内外から多くの人が訪れた。
一輪挿しが、一回り大きなれんがにくっついて宙に浮いている。花瓶の口に、別の花瓶が横倒しになってくっついている。斬新なデザイン? と思いきや、偶然の産物という。
アナグマとの「共作」もある。「お忍び」で焼く前の窯に入り、器の表に爪で3本の線をつけ、その後ひっくり返し、裏に10本ほど長短の線を加えて去っていったという。めったにできるものではない。
10年ほど前、美術館の神谷直子学芸員(48)が、曲がったり、穴が開いたりしている焼き物を陶芸家が大事に飾っているのを見た。「何か理由があるのだろう」と思っていた。
約2年前、武雄市の陶芸家と話…