来日した独電機大手シーメンスのジョー・ケーザー社長が、朝日新聞などのインタビューに応じた。同社は製造業などで使われる機器から得られるデータを活用するサービスに力を入れる。データの利活用ではグーグルなど米IT大手による個人データの独占も指摘されるが、そうした「無料で集めたデータ」の価値は疑問視。価値あるデータを集める必要性を力説した。
シーメンスは発電設備や鉄道車両製造など重電分野に強く、なかでも工場の自動化支援は近年、デジタル化による生産性向上への需要が強いため同社の稼ぎ頭になっている。2018年9月通期の売上高は約10兆円強で、売り上げ規模や利益水準で国内最大手の日立製作所を上回る。
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「AI(人工知能)やIoT(モノとインターネットを結ぶ技術)で製造業は変革する。重要なのは機器から生み出されるデータをつなげていくことだ」。ケーザー氏はそう述べ、データ活用によって生産性を高められるとした。「私たちは産業界のデータがどのように生まれてくるか知っており、そのデータの付加価値は高い」とも語った。
さらにその「付加価値」は、フェイスブックやアマゾン、アップルなど米IT大手が扱うデータとは一線を画しているとも力説した。ケーザー氏は「消費者から無料で集めたデータには『知識』が欠如している」とし、価値は低いと見る。「産業界の付加価値のあるデータを(IT大手などが欲しいと言っても)手放しで無料であげます、とはならない」とも述べ、産業分野でのデータの基盤(プラットフォーム)を軸に米IT大手に対抗する考えも示した。
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