大阪都構想案を作成する大阪府と大阪市の法定協議会が22日開かれ、政治家同士の「委員間協議」が初めて行われた。委員間協議は都構想案作成の詰めの作業で、審議は大きく前進した格好だ。ただ、都構想の是非を問う住民投票の実施時期をめぐっては大阪維新の会と公明党の溝は埋まっておらず、維新は知事・市長の出直し選に向けた最終調整を進めている。
決裂か譲歩か、公明に迫る維新 クロス選なら双方リスク
都構想は、大阪市を廃止して東京23区のような特別区に再編する制度改革。この日の法定協では府市の事務局への各党質疑があった後、委員間協議に入った。今井豊会長(維新幹事長)が、都構想導入時の組織体制など「(協議事項の)基本的な方向性」を提示。4特別区の名称や議員定数について維公で議論が交わされた。
法定協の運営を巡っては、公明は当初、都構想案作成の最終段階となる委員間協議に入ることに否定的だった。だが、早期取りまとめをめざす維新が公明に委員間協議入りを要請。維新代表の松井一郎知事が、吉村洋文市長(維新政調会長)とともに任期途中で辞職し、知事・市長を入れ替える「出直しクロス選」に臨む構えを強めたのを受け、公明側が歩み寄った。
審議は進んだものの、維新には府議選や大阪市議選がある4月の統一地方選が終われば、公明が再び態度を硬化させる懸念もある。維新は公明に対し、今秋の知事・市長の任期満了選挙にあわせた住民投票実施を確約する新合意文書に署名するよう要求しており、出直し選か新たな合意かの「2択」に絞られている状態だ。
法定協後、公明の八重樫善幸・府議団幹事長は記者団に新合意について否定的な考えを改めて示した。次回法定協は3月7日に開催。松井、吉村両氏は公明との交渉が決裂すれば3月上旬に辞職表明する方向で調整しており、維公の駆け引きは最終局面を迎えている。