日本原子力研究開発機構は25日、1月に茨城県東海村の核燃料サイクル工学研究所内で起きた放射性物質漏れ事故について、調査結果を文部科学省に報告した。粉状の核燃料が入った容器をビニール製の袋で包む作業で袋に穴が開き、作業員が検査を怠ったために汚染が拡大した可能性があるという。
同省によると、事故はウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)の貯蔵容器を袋で包み、密閉された設備から取り出す作業中に起きた。袋には約5ミリの穴が開いていた。
検証の結果、袋に封をする装置の先端部と袋がこすれて穴が開いたと判断した。作業員が袋をねじるように反転させた際、先端部に接触した可能性がある。ただ、作業員は接触について「記憶がない」と話しているという。
さらに手順では、袋を密閉した直後に表面の汚染の有無を検査することになっていた。だが、容器を「熱い」と感じた作業員が、検査をせずに次の作業に移ったという。このために汚染が拡大した可能性が高いと、機構は報告した。
機構は、容器を袋で包む作業で袋を反転させるのを禁じる▽汚染検査を徹底する、などの再発防止策を立てたという。