中国・南宋(1127~1279)で12世紀末から13世紀初めごろに出版され、日本に伝わったとされる国宝「宋版史記(そうはんしき)」に、13世紀中ごろの鎌倉時代に石清水(いわしみず)八幡宮(京都府八幡市)のトップだった耀清(ようせい)(1202~1255)の印のあることが、同八幡宮研究所主任研究員の鍛代(きたい)敏雄・東北福祉大学教授(歴史学)の調査でわかった。日宋貿易を担った九州の神社を支配していた石清水八幡宮が、出版後まもなく輸入されたものを入手した可能性が高いとみられ、宋版史記の日本伝来の経緯や日宋貿易の実像を探る手がかりになりそうだ。
宋版史記は、前漢の司馬遷(しばせん)による中国最初の紀伝体の歴史書「史記」を、南宋時代に印刷して出版したもの。全容がほぼわかるものは世界に数点しかないと言われる。国宝の宋版史記(全90冊)は国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)が所蔵し、三種の注釈を合わせた合刻本として現存最古の完存本とされ、世界的にも貴重な資料とされる。
宋版史記には、京都の建仁寺の…