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京都にある五つの花街が年に1度だけ集う、ぜいたくな公演がある。毎年6月に開かれる「都の賑(にぎわ)い」だ。約80人の芸舞妓(げいまいこ)が、舞台で一斉に華やかな舞踊を繰り広げる。
【特集】京都花街マガジン
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それぞれ独立して存在する五つの花街は、採用する舞踊の流派も違い、おのおの独自に公演を催している。上七軒は花柳流、宮川町は若柳流、祇園甲部は京舞井上流、先斗町は尾上(おのえ)流、そして祇園東が藤間流だ。
春には上七軒が「北野をどり」、宮川町が「京おどり」、祇園甲部は「都をどり」、そして先斗町が「鴨川をどり」をそれぞれ開催する。秋には祇園東が「祇園をどり」を催すほか、四つの花街も春ほど公演期間は長くないが、上七軒「寿会」、宮川町「みずゑ会」、祇園甲部「温習会」、先斗町「水明会」の公演がある。
先輩らの舞の様子を録画する舞妓や仕込みたち=6月28日、佐藤慈子撮影
「京都には幸いなことに五つの花街が残っておりまして、その全部を(一度に)見たいという方もある。それを形にしたのが、都の賑いです」
人間国宝で京舞井上流の五世家元、井上八千代さん(62)はそう話す。
今年の「都の賑い」は稽古の総…