ベトナムで開かれる米朝首脳会談に、期待と不安を寄せる人たちがいる。陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備候補地の一つ、秋田市の住民だ。突然の配備計画に反発してきた。北東アジアの安全保障環境は、安定に向かって大きく一歩を進めるのか。会談の行方を見守っている。
分かりやすい米朝首脳会談まとめ
JR秋田駅から西へ約4キロ。秋田市勝平(かつひら)地区には約1万3千人が暮らし、民家や学校などが密集する。そのすぐ隣にある陸上自衛隊の新屋(あらや)演習場が、イージス・アショア配備の候補地だ。
小規模保育園の一室で子どもたちの昼食を手伝いながら園長の高橋摩美さん(49)は「やっぱり分からない」と話した。「どうしてこの場所なのか」
2017年。北朝鮮が発射した弾道ミサイルは相次いで日本の上空を飛び越え、東日本では「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が鳴り響いた。安倍晋三首相は北朝鮮情勢を「国難」と位置づけて衆院を解散。自民党はイージス・アショアの導入を選挙公約に盛り込んだ。政府は、秋田、山口両県が候補地であると18年5月に公表した。
佐々木政志さん(69)はその頃、演習場周辺の16町内会でつくる「新屋勝平地区振興会」の会長に就任した。当初はそれほど気にとめなかった計画に違和感を覚え始めたのは、翌6月に開かれた史上初の米朝首脳会談がきっかけだった。
少し前までののしりあっていた…