勾留中にトイレのドアを壊したなどとして器物損壊と公用文書毀棄(きき)の罪に問われた男の公判が1月31日、佐賀地裁(杉原崇夫裁判官)であった。男は国籍、氏名、年齢などがいまだに不詳。トルコ共和国のパスポートで入国しており、アラビア語の通訳が用意されたが、無反応だった。
起訴状や県警の発表によると、男は昨年9月5日、佐賀県唐津市内のコンビニで缶詰を盗んだ疑いで現行犯逮捕された(同12月に不起訴)。同9日、唐津署の留置室でトイレのドアを壁に打ち付けるなどして破損。同20日には佐賀地検で検察官が作成した文書を引き裂き、さらに同29日には佐賀少年刑務所で、便器から便座を取り外して壊し、便座で窓ガラスをたたき割ったとされる。
男は通常より多い7人の刑務官と入廷。あごひげを生やしており、うつろな表情だった。
検察側によると、男は同8月22日、トルコ共和国発行のパスポートで入国していた。同11月30日に初公判があり、トルコ語の通訳が付いたが、どこの誰かを確認する冒頭の人定質問に英語で「トルコ人ではないので少しのトルコ語しか話せない」と発言すると、その後は沈黙した。
今回はアラビア語の通訳を介して名前や国籍、住所、職業などを改めて聞かれたが、無反応だった。弁護側は争う意向を示した。検察側は次回以降、証拠により立証を図る。(上山崎雅泰)