原発事故の後、人の目が怖く、避難者であることをずっと隠してきた。ひどい差別も経験した。あれからもうすぐ8年。今も全町避難が続く福島県大熊町出身の大学4年三瓶(さんぺい)綾香さん(22)は、本当の自分を語る決心をした。
「道を尋ねても『触るな。避難民が』と言われ、すごく悲しかったです」
1月下旬、東京都渋谷区のホールで、大熊町の人々が町の歴史や避難生活を伝えるイベントが開かれた。三瓶さんはスクリーンに映し出される15枚の絵にあわせ、約300人を前に自身の体験を語っった。地震が起き、東京電力福島第一原発がある大熊町から、福島県会津地方に避難するまでの1カ月を描いた「紙芝居」だ。
2011年3月11日。
中学2年だった。
大熊町内の体育館に避難すると…