佐賀県多久市に、2年ほど前から燃え続けている山がある。かつて炭鉱で栄えたまちの象徴「ボタ山」だ。地下の石炭くずに火がつき、放水しても消しきれない。最近、煙が出る範囲が広がったらしく、苦情を訴える市民もいるが、いまのところ、消す方法が見つかっていない。
市中心部にほど近い、県立多久高校近くの田園地帯。高さ10メートルほどの山の中腹から帯状に白い煙が出ていた。風が吹くたび何かが焦げたような異臭が鼻をつく。近くをよく散歩するという森正行さん(66)は「ここ4週間ほどずっと煙が出ている。近くを歩いて具合が悪くなったこともある。少なくとも中に入れないよう規制線を張るべきではないか」と話す。
市防災安全課によると、現場は、炭鉱から掘り出した石炭のうち、使えないものを積み上げたボタ山。煙の原因は、2017年春に発生した火災だという。
土地の所有者が山の木を伐採して焼いていると、地面に燃え移った。消防車が出動し、地表の火災は鎮圧したが、地下から煙が出続けた。再び地表が燃え出さないよう、市と消防は、近くに残っていた木を切って取り除き、定期的な放水と監視を続けているが、今も鎮火に至っていない。
総務省消防庁の研究機関・消防…