国連は6日、北朝鮮の2018年の食糧生産が、自然災害などの影響を受けて前年比で9%減となり、少なくとも09年以降で最低を記録したと発表した。国連は、北朝鮮で380万人が緊急の人道支援を必要としているとして、国際社会に資金の拠出を求めた。
同日公表された報告書「欠乏と優先事項」によると、食糧の総生産量は前年比50万トン減の495万トンだった。耕作地や農業機器、肥料の不足に加え、昨年7~8月に穀物地帯を襲った熱波、台風、干ばつ、洪水などの災害が響いた。地域差も大きく、地方での困窮ぶりが激しいという。
人口の4割超にあたる推定1090万人が栄養価の高い食事や飲料水などの人道支援を必要としている状態。国連のデュジャリック報道官によると、昨年は必要額の24%しか集まらなかったといい、緊急支援に1億2千万ドル(130億円)が不足しているという。
一方、同国を巡っては、安全保障理事会が科している制裁を無視した、ぜいたく品の流入が問題になっている。制裁の履行状況を監視する専門家パネルは未公表の最新報告書で、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が使う高級車ロールスロイスなどを「明白な制裁違反」と指摘している。(ニューヨーク=金成隆一)