NHKが6月に予定する組織再編で、「ETV特集」などを制作している「文化・福祉番組部」の分割案が浮上し、現場から説明を求める要望書が出たことについて、上田良一会長は7日、「文化番組や福祉番組を制作する体制はしっかりと確保する」と定例会見で述べた。「ETV特集」や「ハートネットTV」など同部の番組を継続することも強調。実際に部を分割するかどうかは明言を避けたが、担当者は「(現場の)理解は得られつつある」と説明した。
NHKは現在、制作局内の組織再編を検討している。今年に入ってから、制作局の八つの部を、六つの「制作ユニット」に再編し、文化・福祉番組部だけが二つのユニットに分割される案が出ると、部から制作局長に説明を求める要望書が提出された。同部には「ETV特集」などで権力に厳しい姿勢で臨む番組を作ってきたとの評価があるため、今回の組織改編を「解体」などと伝える報道も出て波紋を呼んでいた。
上田会長は会見で、組織改編の目的は「限られた経営資源で最高水準の放送サービスを継続的に実施していく」ためだと説明。政権に忖度(そんたく)して部を「解体」しようとの意図は「一切ありません」と述べた。