12日に95歳で亡くなった俳優の京マチ子さんは日本映画の黄金時代を支え、映画やテレビドラマ、舞台で長年にわたって幅広く活躍した。共演者や交友のあった人々、関係者からは悼む声が相次いだ。
京マチ子さんが死去 95歳 「痴人の愛」「羅生門」
長年親交のあった演出家の石井ふく子さんはTBSを通し、以下のコメントを出した。「京マチ子さんとは長いお付き合いでした。テレビ、舞台でたくさんのお仕事をしたことを懐かしく思い出します。私と同じマンションにお住まいになっていたので、親しくさせていただき、煮物などお好きなものを調理するとお持ちして、召し上がっていただくような仲でした。気さくな方で、お友だちがよくお部屋に集まっていました。大女優さんとお呼びするにふさわしいお芝居をされる方でした。京さんのような方はもう現れないと思います。お声を聞くことも掛けることも、もうできないことをとても寂しく思います」
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映画「赤線地帯」「浮草」で共演した俳優の若尾文子さんは「本当にびっくりしました。同じマンションに住んでいて、暮れや正月に石井ふく子さんらとおせちを食べるなどしていた。今年の正月に会ったのが最後です。京さんの肉体がとてもうらやましかった。今の若い人には珍しくないのかもしれないけど、脚が長くて胴がつまって短いから胸がよくみえる。私も京さんも亡くなっても不思議はない年齢だと思っていたけど、ショックです」と話した。
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映画「夜の蝶」などで共演した山本富士子さんは「ニュースで知ってしばらく声が出なかった。プライベートではきちっとしていて、それでいて編み物がお好きで、とっても気さくで庶民的な方。三浦半島の別荘に泊まりがけで一緒に行ったりして、とてもかわいがっていただいた。最後に会ったのは6年前。どうしていらっしゃるかなと気にしていた。日本映画に素晴らしい功績を残された。ご冥福をお祈りしています」と語った。
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舞台やドラマで何度か共演した俳優の長山藍子さんは「京さんというと、官能的で妖しくてつやっぽい女性というイメージがありますが、実際はとてもサバサバした方でした。小さなことは気にせず、裏表もなくはっきり意見をいう人でしたね。それでいてふわっと包み込むような温かさ。周囲を和ませてくれたのを覚えています」と話した。
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映画評論家の佐藤忠男さんは「日本映画を世界に広めた功績者のひとり。三船敏郎と並んで日本映画の顔だった。日本の女優さんの場合、きれいに立っているだけの場合が多く、特に時代劇の中では女優が受け身になりがち。だけど京さんはいつも今、自分が何をやっているのかを分かっていた。『羅生門』で彼女は相手をにらみつけて、胸の中に飛び込んでいった。『雨月物語』で演じた女の幽霊にはうねるような力があり、くっきりとした印象を残した。それが外国で受けた。舞台出身だったから、非常に動きが明快で力強く、肉体そのものが活力にあふれていた」と往年の演技を振り返った。