自動運転車を安全に走らせるための制度を整備する道路運送車両法の改正案が8日、閣議決定された。改正案では自動運転を初めて法律で定義。安全性の基準を作って、プログラムの更新や点検整備、車検などの制度をそれぞれ新設する。
政府は、高速道路など一定条件のもとで自動運転が可能な「レベル3」や、地域を限定した自動運転「レベル4」について、2020年をめどに実用化しようとしている。ところが、現行法はドライバーの運転を前提にしているため、自動運転の定義すらなく、安全性の基準もなかった。
法案では、自動運転システム(自動運行装置)をプログラムによって自動的に車を運行させるための装置などと定めて、保安基準の対象にすることを明示。車種ごとに決められた速度、ルート、天候、時間などの走行条件で安全性能を満たしているかを、国が実際にテストコースを走らせたり、シミュレーションをしたりして確認する。システムの作動状況を記録する装置の搭載も求める。
自動運転技術のプログラム更新を許可する新制度もつくり、メーカーが無線で一斉に更新することもできるようにする。ただし、国の許可を受けずに配信した場合は罰則が科される。
このほか、紙の車検証をICカード化したり、完成車検査で不正をした企業への是正命令を新設し、罰則を強化したりする。(贄川俊)