高額な防衛装備品に最大で10年間の分割払いを認める特別措置法の改正案が7日、衆院本会議で審議入りした。今月末に失効する現行法を5年延長するもので、政府は長期契約で調達費が抑制できると主張。一方、野党は米国製兵器を買うための「爆買い法案」として追及する構えだ。
現行法は、安倍政権下の2015年に成立。防衛装備品を購入する際に財政法が5年としている支払いの年限を、航空機など一部の高額装備品については最大で10年まで認めた。
これまでに海上自衛隊の哨戒機P1や陸自の輸送ヘリCH47JAなど7件に適用。防衛省は長期契約でまとめ買いしたことにより、調達コストが約787億円抑えられたと説明する。
さらに19年度は、米政府から直接兵器を買う有償軍事援助(FMS)に初めて適用する方針だ。米国製の早期警戒機E2Dの9機(計約1940億円)を7年かけて購入する。岩屋毅防衛相は7日の衆院本会議で「(改正案は)自衛隊の装備品の調達コストを縮減し、安定的な調達の実現に資するものだ」と強調した。ただ、過去に契約した装備品の分割払い額は19年度予算案を含め直近の5年間で1249億円増える。19年度予算案では1兆8431億円に上る。
一方、野党側はトランプ米大統領が掲げる「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」のもと、安倍政権がFMS調達を急増させていることを問題視。立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は6日、記者団に対し「トランプ大統領の言いなりに米国製兵器を買いまくる爆買い法案だ」と批判した。(藤原慎一)