野球の日本代表「侍ジャパン」の強化試合(9、10日、京セラドーム大阪)では、対戦相手のメキシコから女性の審判が来日している。日本のプロ野球には、一人もいない女性審判員。世界野球ソフト連盟(WBSC)によるとメキシカンリーグ初で、本人によると、代表戦で審判を務めるのは初めてだという。
7日、ルス・ゴルドアさん(42)は会場を訪れ、日本の審判員からドーム固有のルールについて説明を受けた。「設備が素晴らしくて感動しています」とゴルドアさん。メキシコ国内にはドーム球場がないという。打球が天井に当たり、グラウンドに落ちた際の判定を入念に確認していた。
自身のスポーツ経験は「ソフトボールを20年間」。ポジションは捕手だった。ソフトボールやサッカーの審判を務めるうちに、「試合全体を見ることができる」と、仕事に興味を持った。地元の野球アカデミーから始まり、大リーグ傘下2Aなどのマイナーリーグで経験を積み、昨年メキシカンリーグでデビューした。
本番では第1戦で三塁、第2戦は二塁の塁審を担当する予定だ。「女性審判員としてではなくメキシコ人として、代表と一緒に働けることは、誇りに思います」。来年の東京五輪でも判定に携わることが、今の夢だという。(井上翔太)