意外な気がした。日本男子史上初の快挙を成し遂げたのに、小林陵侑にはじけた笑顔はなかったからだ。
この日は表彰台に届かない5位。総合2位で追うストッフ(ポーランド)が13位と振るわなかったことでの決定だったせいか?
個人総合優勝の率直な感想を問われた第一声は、「まだあまり実感できないっすね」「いやあ、全然意識していないです」とも。原田雅彦、船木和喜、葛西紀明ら「日の丸飛行隊」の偉大な先人たちが果たせなかった偉業なのに……。
ふだんから冗舌ではない。もう少し突っ込んで聞いてみると「たぶん、この喜びはシーズンが終わってから来ると思います。まだ終わっていないので」。合点がいった。
伝統のジャンプ週間で史上3人目の4戦全勝優勝を含め、すでに今季11勝。5戦残しての余裕の決定は、要するに強すぎたのだ。
この日8位の佐藤幸椰(ゆきや…