東日本大震災の被災地で、災害公営住宅(復興住宅)で暮らす被災者の孤立が深まっている。仮設住宅を出たものの、新たな住まいの片隅で孤独死する被災者たち。とりわけ、孤立しがちな中高年の男性にどう手をさしのべるか、支援者たちは頭を悩ませている。
復興住宅での孤独死が急増 昨年68人、入居後に孤立か
仙台市若林区の復興住宅「荒井東市営住宅」(298戸)。昨年12月27日、2階の一室で、一人暮らしの男性(60)が亡くなっているのが見つかった。死後数カ月。孤独死だった。
隣人はこの年の10月に入居した。引っ越しのあいさつに訪れたが返事はなく、違和感を持った。異臭がするわけでもないが、チラシがあふれた郵便受けを見ておかしいと感じ、町内会役員に知らせた。やがて駆けつけた警察官が、部屋で仰向けに倒れていた男性を発見した。
「何とかできなかったかなぁ」。こう何度もつぶやくのは40代の知人男性だ。
この知人によると、男性は宮城県気仙沼市出身。トラック運転手や倉庫のアルバイトなどを転々とした。「俺は身寄りもないから」と話し、人付き合いは苦手だった。震災に遭って仙台市若林区の自宅アパートは全壊と判定され、仮設住宅へ。そして2014年、荒井東市営住宅に移った。
暑いさなかの昨年7月中旬、突然電話が鳴った。「粒あんとマーガリンのコッペパン、ヨーグルト買ってきて」
家を訪ね、インターホンを押す。中から声がして、待つこと10分。ようやく玄関が開いた。顔色は悪く、身長185センチの大柄な体がやせ細っていた。「最近体調が悪く何も食べられない。これ食べてから病院に行くよ」。それが最後に聞いた男性の言葉だった。
男性は近所づきあいがなく、町…