東京電力福島第一原発の事故から全町避難が続く福島県大熊町。今春にも原発立地自治体として初めて避難指示の一部が解除される見通しだ。対象となる地区の一つ、内陸に位置する大川原地区では新しい町役場の庁舎が姿を見せている。
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この地区では農地だった18・3ヘクタールが整地され、2階建ての新庁舎や、町に戻る町民向けの災害公営住宅(50戸)の建設が続いている。今後、廃炉作業などで転入してくる新たな住民のための集合住宅や商業施設などの建設も計画され、町再生の拠点となることを目指している。新庁舎は今月中に完成し、5月上旬に業務を始める予定だ。
帰還準備として自宅での生活を再開した石田茂子さん(54)は「どういう町になっていくのか期待と不安がある。今は家の前を通るのは作業員の車ばかりだけど、復興住宅に人が戻ってくると、町民の車も見かけるようになるのかな」と話した。(福留庸友)