国内銀行が抱える課題について、全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は14日、「構造的な高コストの問題がある。店舗やシステムなどの固定資産の負担があり、(収益性との)ミスマッチが起きている」と述べた。
定例会見で銀行株の低迷が続いている背景を問われて答えた。自社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は、低収益の個人部門の店舗や新システムの減損処理などで6800億円の損失を計上する見込みだ。
みずほ、損失6800億円 今回限りの巨額損失と強調
藤原氏は、固定資産の減損処理を前倒しで進めるべきかについては「会計基準にのっとった体制整備が必要になる。自らの資本や収益状況を見極めたうえでの各行の判断」としつつ、新しい決済手段の登場や異業種からの参入などを踏まえ、「顧客接点のあり方やネットワークの作り方は大きな転換が図られる。経営者の意識改革が最も必要な局面だ」と述べた。銀行の象徴だった店舗網や巨大なシステムの存在そのものが今後問われるとの認識を示した。
みずほの巨額減損については、「過去のくびきから解き放たれ、将来の負担をできるだけ軽くし、価値あるサービスを提供するために決断した」と述べた。
藤原会長の任期は今月末までで、この日が最後の定例会見だった。来年度は三井住友銀行の高島誠頭取が会長になる。(榊原謙)