学校法人森友学園(大阪市)への国有地売却と財務省の公文書改ざん問題で、財務官僚をいずれも不起訴処分とした大阪地検特捜部の判断に、大阪第一検察審査会は厳しい言葉で再考を求めた。不起訴に不服を申し立てた関係者からは支持する声が相次いだ。強制起訴につながる「起訴相当」とはならず、法廷での真相究明を求める声も出た。
「公務員だった我々は、検察の処分を明らかな誤りと感じていた。市民がまっとうな判断をしてくれた」
改ざんを「一般市民感覚からすると言語道断」とした検察審査会の議決を財務省近畿財務局OBの喜多徹信さん(70)は評価した。検審は、佐川宣寿・元理財局長ら財務省幹部を「不起訴不当」とする一方、改ざんの作業を担った現場の職員は「上からの命令に逆らえなかったのではないか」などと責任を問わなかった。喜多さんはこの点も「実感に近い」と話した。
一方、土地の売却をめぐる背任容疑については現場の職員らを「不起訴不当」とし、財務省幹部の責任は問わないとされた。喜多さんは、財務局が本省と相談し、学園に特例の貸し付けをしたところから土地取引が始まったと指摘。「現場だけの判断で売却が本当にできただろうか」と話した。政治的働きかけの影響の有無も含め、疑問を解消するために「検察が再捜査したうえで、公判で真相解明してほしい」と述べた。
改ざん発覚後の昨年3月、財務局で国有地売買交渉の担当部署に所属していた男性職員が亡くなった。父親(84)は、佐川氏らが不起訴不当と議決されたことについて、「検察が不起訴にして、終わったと思っていたけれど、少しは気持ちが救われました」と話した。
■「起訴相当に至らず…