(29日、プロ野球開幕戦 阪神2―1ヤクルト)
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阪神がサヨナラ勝ちした。延長十一回1死三塁から暴投で決勝点。ヤクルトは先発の小川が7回1失点と好投したが、打線の援護がなかった。
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相手のバッテリーミスによる決勝点という意外な幕切れでも監督としての初白星は格別だ。阪神・矢野監督は「(選手を)信じることしかできなかった。一生忘れない1勝になる」。
白星をたぐり寄せたのは、新しい風とそれに負けじと戦うベテランだった。
1点を追う六回2死一塁。新人の2番・近本(大阪ガス)が打席へ。初球の変化球を右中間に運んで同点の適時三塁打。大歓声に「これが阪神ファンかって。阪神で野球できるってすげえなと思った」。十一回はプロ16年目で初めて開幕スタメンを外れた37歳の鳥谷が代打で登場。三塁打を放ち、勝利へつなげた。
昨年は17年ぶりの最下位。難しいタイミングでの監督就任だったが、キャンプから「矢野流」を貫いた。自主性を掲げ、競争をあおり、近本と1、2番コンビを組む木浪(ホンダ)ら若手に限らず鳥谷のようなベテランも含めた奮起を促した。開幕戦はその成果が出た形となった。
昨年10月の監督就任会見で指揮官はこう言った。
「ファンを喜ばせるチームをつくりたい。その中で優勝できれば、もっともっと喜んでくれる」
143試合のうちのたった1勝。目標はまだまだ先にある。ただ、この夜、球場に足を運んだ虎ファンが喜んだのは間違いない。(辻隆徳)