タイのワチラロンコン国王は29日付で、王室がタクシン元首相に授与した勲章を剝奪(はくだつ)した。有罪判決を受けながら、国外逃亡を続けていることなどを理由としている。このタイミングで剝奪を決めた理由は不明だが、総選挙後の連立交渉で親軍政派とタクシン派がせめぎ合うなか、国王の決定は親軍政側に有利に働くとの指摘が出ている。
タクシン氏は2008年に最高裁が汚職防止法違反で実刑判決を言い渡す直前に国外に出国。30日に官報に掲載された文書で、国王はこれらの行為を「極めて不適切だ」とした。
民政移管に向けて24日に実施された総選挙は、タクシン派の政党が国王の姉のウボンラット王女を首相候補に擁立しようとし、国王が「不適切」と批判した経緯がある。また、その後もタクシン氏は香港で開いた娘の結婚式に王女を招くなど、親密さをアピールしており、今回の決定は「王室の政治利用」への不快感との見方もある。
総選挙の公式結果はまだ発表さ…