三井住友銀行の高島誠頭取が、1日付で全国銀行協会長に就任するのを前に朝日新聞の取材に応じた。日本銀行が2%の物価目標を掲げて金融緩和を続けていることについては「厳格に物価目標を維持する政策はあまり現実的ではない」と指摘。「デフレでない状況が確認できれば、柔軟に政策を修正してもおかしくはない」と述べた。
高島氏は個人の見解と断ったうえで評価を述べた。短期的に景気を刺激する金融緩和は「時間を買う政策であって永続的なものではない」と強調。長期化している金融緩和の「影響や効果を総合的に検証し、政策のありようを考えて欲しい」と注文をつけた。
一方で、銀行がリスクの高い外貨建て保険の販売やアパートローンなどの不動産融資を増やし、トラブルも多発していることについては、「低金利で、もうからなくなったから無理な商品を売ってよいという理屈はない」と話し、「個別行の経営責任だ」と各行に対応を求めた。
1日に新元号「令和」が発表されたのに伴い、銀行はシステムの変更作業が生じる。高島氏は「リスクのあるシステム変更は避けるべきだ」として、改元後に作業があとずれしても安全性を優先する考えを示した。また、27日からの10連休については、銀行が休業に入る前に振り込みや送金をするよう顧客に周知し、中小企業が資金不足に陥らないよう資金繰りを支えるという。(福山亜希)