新元号「令和」のゆかりの地・福岡県太宰府市で、典拠となった万葉集に記された「梅花の宴」を再現する催しが開かれた。
新元号は「令和」(れいわ) 万葉集典拠、国書由来は初
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奈良・平安時代に九州の政治の中心だった大宰府政庁跡(太宰府市)。長官だった歌人の大伴旅人が自邸で開いた「梅花の宴」に合わせ、今回引用された梅の花の歌の序文がつくられた。
2日、大宰府政庁跡の一角に赤い布が敷かれ、台の上に餅や焼き大豆、干しワカメが並べられた。市民グループ「大宰府万葉会」のメンバーら12人が、文献に基づいて再現した鮮やかな衣装に身を包み、序文と数首の歌を朗唱した。
万葉会は毎年2月、梅花の宴を再現する催しを開いている。松尾セイ子代表(80)は「(今年の)梅花の宴の余韻がまだ残っているので、新元号の発表には感激した」と話した。
「万葉集は奥が深い。例えば花の香りの表現方法など、現在と物のとらえ方が共通だと感じることがある」と語るのはメンバーの米川治子さん(80)。「災害のない、よい時代になると希望を感じさせる元号ですね」
近くの「大宰府展示館」には博多人形で梅花の宴を再現した展示物があり、2日は約1千人が訪れた。管理する古都大宰府保存協会の井上理香・事務局長は「来館者数はいつもの約20倍。間違いなく新元号の余波ですね」と驚く。(徳山徹)