日本文学研究者のロバート・キャンベルさんによると、梅の花は万葉集では120首ほどが題材として詠まれており、「中国で伝統的に歌われる情景だ」という。典拠となった序文は、詩文集「文選(もんぜん)」にある後漢の張衡(ちょうこう)の「帰田賦(きでんのふ)」を「カバー」した可能性があるとし、「後漢の時代の人々に思いを重ね、目の前にある景色を描いたのではないか」と指摘する。
新元号は「令和」(れいわ) 万葉集典拠、国書由来は初
「令和」どう思う?「堅すぎますね」「災害ない時代に」
【詳報】新元号「令和」発表の一日をタイムラインで
そのうえで「国書か漢籍かということはどうでもよく、国を超えて共有される言葉の力、イメージを喚起する元号だ。元号が孤立しているものではなく、北東アジア文化圏で共有された情操の世界とつながる言葉だ」と評価する。
また、万葉集はのちの勅撰(ちょくせん)和歌集と違い、「詠み人の階層や地域性が多様で、人々の素直な声や思いを後の時代に記録している。世界に万葉集の素晴らしさを気付かせるきっかけになるという意味もうれしい」と歓迎した。
新元号が「令和」と聞いた瞬間には、「令」が使役の助動詞であることから、「和せしむ」と解釈したという。「平和になるよう仕向けようという、ポジティブな言葉だと思った。この解釈も胸にとっておきたい」と話した。