戦時中に日本の軍需工場で働いた韓国人の元徴用工と遺族計31人が4日、日本製鉄(旧新日鉄住金)など4社に対し、1人当たり最大約1億ウォン(約1千万円)の損害賠償を求める新たな訴訟をソウル中央地裁に起こした。昨年10月に韓国大法院(最高裁)が賠償判決を出して以降、元徴用工らによる同様の訴訟をめぐり追加提訴は初めて。
被告企業はほかに、三菱重工業と不二越、日本コークス工業。元女子勤労挺身(ていしん)隊員を中心とした別のグループも今月に集団提訴すると予告している。韓国の法曹関係者は「追加訴訟でも大法院判決に沿って被告企業に賠償が命じられる可能性が高い」としている。
三菱重工業の長崎造船所で働いたという原告の金漢洙さん(100)は提訴後に会見し、「人間扱いされなかった日々を思い出すと胸が痛いが、今からでも日本が過去を反省するなら韓日は真の友だちになれる」と話した。支援団体の幹部は200人以上から訴訟参加の希望があるとし、「準備が整い次第、順次追加で提訴する」とした。
大法院判決について、日本政府は、1965年の日韓請求権協定に反するとして、韓国政府に日本企業に損害が生じないよう対応を求めているが、韓国側は具体策を示していない。韓国の裁判所は、賠償命令を受けた日本製鉄と三菱重工業、不二越の3社の韓国内資産の差し押さえを一部原告に認めている。(ソウル=武田肇)