高校時代の「あの日」を、ともに忘れてはいなかった。初対決から7年、当時夢見たプロの場で、再び2人は対した。
オリックスのドラフト2位新人の頓宮裕真(亜大=22)にとって“3打席目”の正直だった。5日に京セラドームであった楽天戦。0―0で迎えた四回の攻撃は無死満塁。マウンドには楽天、安楽智大(22)。内角直球を見送って2球目。真ん中に入った132キロの変化球を左前へ打ち返し、先制適時打にした。
頓宮と安楽は同期。高校時代から縁があった。頓宮が岡山理大付に入学して間もない頃に行われた、愛媛・済美との練習試合。「球が速くて、体が大きいやつがいるな」。その右腕が安楽だった。頓宮にとって高校での初打席だったが、「結果は三振でした」。
この試合、安楽も覚えていた。「岡山に遠征した時です。同じ1年生で、体格が大きかった」。偶然なのか、互いの印象は同じだった。ただ、結果は覚えていなかった。
安楽はその後、1年秋から背番号「1」を背負い、2年春(2013年)の選抜大会で準優勝。高卒の目玉として、ドラフト1位で楽天に入団した。頓宮は1年秋から4番として活躍したが、3年夏の岡山大会準優勝が最高成績。あと一歩のところで甲子園に届かず、亜大へ進学した。
再び2人の道が交わった今季、「甲子園を見ていてすごいなと思っていた。4年遅れでプロに入ったけど、1年目でもやれるところを見せたかった」と頓宮。二回の第1打席は一飛に終わったが、第2打席でお返しした。この先制打が呼び水となり、オリックスはシーズン初勝利。頓宮はお立ち台にも上がった。
プロでの対決は頓宮の記念日となったが、「やっぱり同学年には負けたくない。次はしっかり抑えます」と安楽。次はどうなるか、同期対決に注目だ。(大坂尚子)