韓国のソウル市鍾路区が、日本大使館の建て替え工事の建築許可を取り消したことが分かった。同区は、大使館が許可の延長を申請しなかったためとしている。大使館前には慰安婦問題を象徴する少女像があり、延長申請をしなかった大使館の判断に影響を与えた可能性もある。
菅義偉官房長官は10日の会見で「建築計画の詳細は、行政機関内部の検討過程にかかわることなので差し控えたい」と話した。外務省関係者も理由については「コメントしない」とし、「計画を断念したわけではない」と語った。
同区の関係者によると、大使館は2015年に建築許可が出て取り壊された後、朝鮮王朝時代の遺物が見つかって工事が中断、そのままになっていた。この関係者は「大使館側は『本国の事情で着工できない。建築許可の取り消しを受け入れる』と語った」としている。延長申請の期限は3月4日だった。再び許可を得れば着工できるという。大使館の業務は別の場所で行われている。(神谷毅=ソウル、竹下由佳)