新元号を考案したと有力視されている国文学者の中西進さん(89)が12日、東京都内で開いた市民講座で「令和」について解説した。自身が考案者かどうかは明言しなかったが、「辞書には『令は善なり』と書いてある。令と言えば善いことだ。こんなにすばらしい字はない」と話した。
【特集】平成から「令和」へ
毎月1回開いている講座で中西さんは万葉集の和歌を解説。この日は「元号について一国民として話す」として、約1時間半すべてを新元号の話にあてた。
「令和」の典拠である万葉集の梅花の歌の序文は、中国の詩文集「文選(もんぜん)」の「帰田賦(きでんのふ)」の影響があるとの指摘がある。この点について中西さんは「令月」は帰田賦では2月の意味だが、万葉集では1月の意味で使われているとし、「和」の使われ方も違うとして「同じものだと考えるのは理解できない」と強調。
「れい」という発音については「『玲瓏(れいろう)玉のごとし』や『容姿端麗』など非常に美しいものに使われる」と述べた。「令」が「命令」の意味を含むとの指摘については「文脈が違えばそれぞれ際だった側面が強調される。こじつけだ」と語った。
自身が考案者であるかどうかについては「たまたま同じ名前の人が考案したかのごとく言われているが、たぶん今ここに座っている人間とは違う」とけむに巻いた。(田嶋慶彦)