北朝鮮では11日、国会にあたる最高人民会議の1日目が平壌で開かれた。朝鮮中央通信が12日、伝えた。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、国の政策を指導する国務委員会の委員長に再選されたが、会議には出席しなかった。米朝協議や核・ミサイル開発、非核化への言及はなかった。
正恩氏、27回繰り返した「自力更生」 経済重視を強調
正恩氏は10日の党中央委員会総会で米朝首脳会談について説明したが、米朝協議にどう触れたかは報じられていなかった。トランプ米大統領とのハノイでの首脳会談が物別れに終わった後、北朝鮮の非核化をめぐって米朝協議は停滞しており、対外的なメッセージを発することに慎重な様子がうかがえる。
会議では、正恩氏の最側近、崔竜海(チェリョンヘ)・党副委員長が、新設された国務委員会第1副委員長に選ばれた。北朝鮮では憲法上の対外的な元首は最高人民会議常任委員長で、1998年から金永南(キムヨンナム)氏が務めてきたが、今回、崔氏に代わった。
韓国の北朝鮮専門家は、正恩氏が務める国務委員長の下に最高人民会議常任委員長が置かれる憲法改正が行われたうえで、制度上も国務委員長が元首となるかどうかに注目している。(ソウル=神谷毅)