熊本地震の本震発生から3年を迎えた16日、熊本県南阿蘇村で国道57号の崩落に巻き込まれ亡くなった大学生大和晃(ひかる)さん(当時22)の遺族が現場近くを訪れ、地震発生時刻の午前1時25分、晃さんが発見された川に向かい、黙禱(もくとう)した。
晃さんは熊本市から自宅のある阿蘇市に車で向かっていた途中で連絡が途絶えた。県の捜索が打ち切られた後も両親らが捜索を続け、7月末に川に埋もれた車を発見。8月に車の中から遺体で発見された。
現場のすぐ近くではいま、国道とともに崩れた阿蘇大橋に代わる新しい橋の建設が進み、すでに橋脚が立つ。
父親の卓也さん(60)は「見える場所の復興は大きく進んでいるけど、人の心はそのままで、周囲の状況に追いついていないと感じる。自分たちも3年前と何も変わっていない」と話す。母親の忍さん(51)も「時間の流れはあっという間だけど、私たちの中で晃はいつも22歳の姿のまま。時間が経つほど思いが募っていく」という。
現場をしばらく見つめていた卓也さんは「寒く、冷たく、暗い中で巻き込まれたのかな。一瞬だけど怖かっただろうな。同じ時間に、その時のことをこうして感じることが晃の供養になるのかなと思う」と話した。(後藤たづ子)